集客やブランディングなど、さまざまな施策の必要性が企業だけではなく動物病院にも求められる今、マーケティング活動は必須と言えます。
どのような飼い主さんに、どのような診療サービス・商品を提供するのかを明確にし、それに沿った戦略を立てていくことで動物病院の経営は変わっていくはずです。
「専門的な知識がなければマーケティングは難しい」と、及び腰の方も少なくありません。
しかし実はマーケティングはそこまで難しいものではなく、基礎を押さえれば誰しもができるものです。
そこで今回は動物病院に取り入れたいマーケティングの基礎知識を紹介します。「マーケティングと言っても何をやればいいのか分からない」という方はぜひ参考にしてください。
マーケティングの3つの原則とは
時代が変わるとともに、有効なマーケティング方法も変わると思われていますが、実際のところマーケティングの「3つの原則」は変わらないといえます。
この3つの原則とは、
- 戦略設計
- 商品設計
- 集客設計
の3つです。
戦略設計とは事業設計のことであり、この段階で飼い主さんに喜んでいただける商品の企画やキャンペーンの施策を考えます。 ターゲットとなる飼い主さんにうまく訴求するためには、
- 現在の市場の状況
- ターゲット
- 競合他社の存在
- あなたの動物病院の強み
を明確にしなければなりません。もちろん院内のスタッフと話し合うことも重要ですが、机上の空論で終わらないように市場調査やマーケティング、マクロ分析もしなければなりません。こういった活動は戦略設計のためのマーケティングの一環と言えます。
戦略設計の第一段階が終了したら、次に商品設計のフェーズに移ります。商品設計では戦略設計のマーケティングで得た情報をもとに、商品やサービスを魅力的なものに落とし込み、利益が出るように設計していかなければなりません。このブログでも何回か紹介している無料オファーや価格設定、商品デザインの設計はこの段階で考えます。
ここまできたら、最後に集客設計が必要です。どんなに素晴らしい商品ができあがったとしても、飼い主さんに知られていなければ認知度は高まっていかないためです。認知を高めて購買につなげていくためには、飼い主さんに商品やサービスの良さを伝える、広告活動を行わなければいけません。チラシやホームページの制作、SNS集客、キャッチコピーの考案、デザイン、プロモーション活動はすべて集客マーケティングに分類されます。
マーケティングを成功させるポイント
マーケティングの基本的な流れを確認したところで、ここからは3つの設計のなかで、押さえておきたいポイントを紹介します。コツは飼い主さんにはシンプルに見せつつ、戦略や企画は徹底的に練り込むことです。ひとつずつ見ていきましょう。
戦略設計は徹底的に行う
市場のユーザーから意見を募るアンケート調査や、AとBの商品を比較するABテストなど、戦略設計の方法はいくつかあります。それらを行ううえで重要なことは「ただ調査して終わりにしない」ということです。
たとえばアンケート調査であれば、「人気があったAという商品の類似品を開発しよう」と安易に考えるのはNG。なぜAに人気があるのか、Aは具体的にどのような層(性別・年代・居住地など)から支持されているのか、市場細分化したうえでターゲティングを行いましょう。万人受けする商品よりも、需要の高い層に確実なアプローチができる商品を考えたほうがヒットにつながりやすいものです。
また、複数のテストや調査を行い、総合的に判断することでより練られた戦略設計が実現されます。
商品設計では自社のポジショニングを行う
商品設計をする際には、必ず競合他社との差別化を意識してください。ものがあふれている今の時代、良い商品であっても差別化できていなければ手に取ってもらいづらくなります。
そのため、商品を設計する際には4P分析を行って、製品・価格・流通・プロモーションの方法を徹底的に考えましょう。この4つの組み合わせのバランスを考慮して、もっとも手に取ってもらえそうな商品・サービスを考えることが重要です。
飼い主さんにはシンプルな対応がベスト
ここまでマーケティングの流れについて説明しましたが、飼い主さんにはこれらの複雑な工程を見せる必要は一切ないです。それよりも飼い主さんがパッと見て「これが欲しい」と思えるような、シンプルな見せ方を考えましょう。動物病院に限らず、人はモノを購入するときに、直感に頼って決定することが多いものです。そのため、わかりやすいキャッチコピーや価格の見せ方を考えて、積極的にアピールするようにしましょう。また、飼い主さん一人一人に合わせた見せ方をすると、より効果的です。
今回は基本的なマーケティングの流れと、飼い主さんへの見せ方について説明しました。商品やサービスは販売するよりも、内容を設計することにもっとも時間がかかるものです。その点を踏まえてマーケティングの方法を考えてみてください。