ひと昔前まで、営業は足で稼ぐものと言われていました。
一軒一軒ターゲットの企業や個人宅を回り、顧客と顔を合わせることで営業成績も上がっていくと信じられていたのです。
しかし時代は変わり、今は効率的なセールスの方法が注目されるようになりました。
いつまでも対面セールスがすべてと思っていると、効率の悪い営業スタイルと思われてしまいます。
それでは新しい時代にあって、どのような営業を展開すれば良いのでしょうか。
今回はインサイドセールスについて考えてみたいと思います。
なぜ対面営業は時代遅れになったのか
日本は元々対面営業が主流の国でした。その裏付けとして2019年にHubspotJapanが行った「日本の営業に関する意識・実態調査」によると、日本におけるインサイドセールス（非対面営業）の導入率はわずか11.6％。アメリカの47.2％やヨーロッパの37.1％と比較するとかなりの低さであることがわかります。
日本人はセールスマンの顔を見て安心したいと思う人が多いようで、対面営業を選択している理由として「営業担当者の誠意を感じたい」「相手の顔を見て安心したい」といった回答の多さが際立っています。
しかし、それも2020年のコロナ禍以降、法人・個人問わず対面営業を避けたがる人が増えたことで状況も一変しました。Zoomやチャットを使用したインサイドセールスを導入する企業が一気に増え、2年半が経過した今では当たり前のように使われています。
インサイドセールスが身近になったことで、これまでの対面営業の非効率さに気づいた人も多く、今では非対面営業を積極的に選ぶ人も少なくありません。情報があふれている今の世の中、セールスマンにすべてを説明してもらわなくても大丈夫と考えている人も多いようです。
セールスの立場からしても交通費などのコストがかからずに、顧客の情報管理をしやすいインサイドセールスにはメリットが多々あります。これからは「対面営業＝非効率で時代遅れ」という認識が強まっていくかもしれません。
動物病院におけるインサイドセールスの取り入れ方
基本的に動物病院のセールスは診察時に行われることが多いため、インサイドセールスとは無縁と思われるかもしれません。しかし、この考え方はかえって危険です。対面営業のみということは、すなわちあなたの動物病院に足を運んでくださる飼い主さんのみがセールスのターゲットに絞り込まれてしまうからです。これではいつまで経っても新規顧客を獲得できませんし、既存の商品が広く知られる機会もありません。
そのため、オンラインサイトの内容を充実させたり、ダイレクトメールを送ったりして、インサイドセールスにも力を入れるようにしましょう。今はあなたの動物病院から足が遠ざかっている飼い主さんに何らかのコンタクトを取ることで、存在を思い出してもらえるかもしれません。また、予防接種などの定期的なイベントの告知をすることで、動物病院に足を運ぶきっかけをつくることができます。
「セールス＝対面で行なうもの」という先入観を一度取り払って、顔を合わさなくてもできるセールスの方法を考えてみましょう。
オンライン相談を取り入れるのもあり
ヒトを診る病院では、現在オンライン診療が法律で認可されています。動物病院は不明確なところがありますが、オンライン診療や相談を行っている病院も増加傾向にあります。もしもあなたの動物病院が本格的にインサイドセールスを取り入れるのであればオンライン診療やオンライン相談を導入するのもひとつの手です。遠方にお住まいの飼い主さんや、仕事や家事で忙しい飼い主さんも受けやすくなり、顧客の拡大を図ることができます。
ただし、オンライン診療・相談の導入は決して簡単なものではありません。Webカメラやネット環境などを整えていなければ、誤診を招く原因となります。当然のことながら、コストもかかるでしょう。その点を踏まえたうえで、本当にオンライン診療・相談を取り入れるべきか考えるようにしてください。
心を込めて接することを忘れない
インサイドセールスの大きなポイントとして、「誠意が見える、心のこもったセールス」が挙げられます。どうしてもインサイドセールスは対面営業と比べて真心が伝わりにくく、飼い主さんによっては「対応が義務的」と感じるかもしれません。時代が変わっても、人は温かみのある接客を求めるものです。
それを感じてもらうためには、ダイレクトメールも定型文を送るのではなく、飼い主さん一人ひとりに当てたメッセージを作成し、あなたの気持ちを伝えましょう。オンラインサイトを作る際にも、人間らしさが感じられるデザインで親近感を伝えられると良いですね。効率化は大切ですが、接遇の心を忘れてしまっては意味がありません。顔が見えないセールスだからこそ、心を込めることを大切にしてください。
今の時代、対面営業がすべてではありませんが、忘れてはならない心配りもあります。対面営業・非対面営業それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、飼い主さんにアプローチをかけるようにしましょう。
