ビジネスシーンで使われることが多い「振り返り」という言葉。
あなたはこの言葉を文字通りに捉えて、過去の自分の行動に感想や反省をしたらそれでOKだと思っていませんか。
ビジネスにおける振り返りは、決してそんなに単純なものではありません。
今回はこの振り返りの意味と手法、そしてポイントについて考えてみたいと思います。
仕事における「振り返り」の意味
ビジネスシーンにおける振り返りとは、過去の取り組みや成果、課題について客観的に反省をして、学びを得るプロセスのことです。あなたの仕事の成果や達成度を客観的に評価し、未達の目標や問題点を特定することで、今後の課題を見つけつつ自己成長につなげていけます。
また、目標や方針を再確認し、時には修正していくことで、方向性を見失うことなく、仕事に取り組めるようになります。このように振り返りは、個人の成長や動物病院の経営改善に欠かせないプロセスです。正しい方向で行うことによって自己肯定感を高められ、次の目標に対しても、積極的に取り組めるようになります。
振り返りに効果的な5つのフレームワーク
振り返りは、ただ自分の行動や実績表を見直して終わりにするのではありません。フレームワークに沿って成果や反省点、これからの取り組み方を洗い出していくことによって、精度を高められます。ここからは振り返りにおすすめしたい5つのフレームワークを紹介します。
PDCAサイクル
これはもっともよく知られているフレームワークです。Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Act(改善)からなるPDCAサイクルを通じて、計画したことが実際にどのように機能したのかを評価することができます。次のステップに向けてしっかりと改善を行うことで、Doの内容が良くなり、Checkのレベルも上がっていくでしょう。
SMARTゴール設定
振り返りの際には、設定した目標が果たして現実的なものであったかどうかを見直すことが大切です。
SMARTゴール設定は、Specific(具体的)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性がある)、Time-bound(時間軸がある)の頭文字をそれぞれ取ったもので、この5つの要素を満たしているかどうかを検証していく方法です。このフレームワークを使用することで達成度を評価し、目標を再設定することができます。
SWOT分析
SWOT分析(Strengths(強み)、Weaknesses(弱み)、Opportunities(機会)、Threats(脅威))は、組織やプロジェクトの内部および外部の要因を評価するフレームワークです。振り返りにおいて、あなたの周りの要素を4つのカテゴリのいずれかに分類することで過去の成果や課題を洗い出し、今後の方針に役立てられます。
5W1H
Who(誰)、What(何)、When(いつ)、Where(どこ)、Why(なぜ)、How(どのように) の6つの質問に答えていくことで、過去の取り組みや結果を評価することができます。これによって全体像を把握し、次のステップを計画するための情報を収集できるようになるのです。
YWT
シンプルなフレームワークを好む方におすすめしたいのが、このYWTです。Y(やったこと)、W(分かったこと)、T(次にやること)を整理して、改善を目指していくことができます。
こちらは誰でも理解できるため、個人や小規模のチームで多く活用されている手法です。最後にM(メリット)を加えて全体を整えることもできます。
振り返りを行う際の注意点
ここまでに紹介した5つのフレームワークを型どおりに進めば振り返りがうまくいくわけではありません。マニュアル通りに進めようとすると、かえって落とし穴に気づかないことがあるでしょう。最後に押さえておきたいポイントを紹介します。
常に客観的な視点で行う
周りから見れば成功ではないこともつい甘く評価してしまったり、振り返りの内容が本質からずれてしまったりすることがあります。
そのようなことがないように、振り返りはあなたを含む複数名のスタッフで行い、みんなの意見にも耳を傾けてまとめるようにしましょう。
改善案を必ずひとつは決める
反省をして終わり、では振り返りの意味がありません。反省から得た教訓を活かして、今後はどのように取り組むべきなのか、必ずひとつは改善案を打ち出すようにしましょう。それを意識して行動するだけでも、院内の雰囲気は変わってくるはずです。
振り返りに時間をかけすぎない
大切だからと言って、振り返りに時間をかける必要はありません。長くても1時間以内に収めるようにしましょう。スタッフへの負担や、振り返りの形骸化を防ぐためにも、頻度と時間を決め、フレームワークを使用するなどして効率的に行いましょう。
振り返りという言葉はふわっとしている印象で、方向性を決めて行わなければただの反省タイムで終わってしまいます。そのためにもぜひフレームワークを使用して、効率的かつ効果的に進めましょう。