今は、動物病院でも商業施設同様に広告を打ち出すところが多くなりました。広告の打ち出し方は、ダイレクトメールやチラシ、メルマガやSNSと多様ですが、どの媒体であっても忘れてはならないのが「色」の存在です。広告の色遣いは、見る人に良くも悪くもインパクトを与えます。商品を購入するときに色遣いを重視して選ぶ人は、全体の80%以上にも及ぶという調査報告もあるほどです。
広告に使う色は、自分の好きなものを使いたいだけ使えばいいというわけではありません。配色や色の選び方にもコツがあります。今回は広告を出す際の、色の選び方、印象についてお話しします。これから広告を打ち出す予定がある人は、ぜひ参考にしてください。
配色の原則は3色
デザイナーの間では有名な話ですが、広告のレイアウトでは使う色を3色に留めることが良しとされています。2色以下であると単調な印象になりますし、反対に4色以上になるとガチャガチャして、まとまりのない印象になります。日本の街並みは色とりどりの看板が並んでいて統一感がないと言われますが、それと同じ感じになってしまうのです。
広告に使う3色を選んだら、次にそれらの配分が重要になってきます。まずは広告レイアウト全体の7割を占める「ベースカラー」から決めましょう。ベースカラーは広告の背景にあたる色です。そのため、文字が読みやすい薄い色が推奨されています。次に、広告全体の25%を占める「メインカラー」を決めます。この色が、動物病院全体の印象を決める色となりますが、選び方については次の章で紹介します。最後の5%を占める「アクセントカラー」は、メインカラーと真逆の色を選ぶと良いでしょう。メリハリがついておしゃれなレイアウトができあがります。
選ぶ色によって印象は大きく変わる
広告は配色によって、見る人に与える印象が大きく異なります。美術の知識がなくても、「赤=暑い、情熱的、活動的」「青=冷静、誠実、清涼」」というイメージはなんとなくありますよね。 自分の動物病院がどのような存在でありたいのかを考えて、ブランドカラーを決め、メインカラーに設定しましょう。
この時に注意したいのは、どの色にも魅力とともに欠点があるということです。例えば赤は華やかさが魅力といえますが、一方で主張が強すぎるという欠点があります。青は爽やかなイメージが強いものですが、無機質で冷たいと捉える人も少なくありません。色それぞれが持つ長所や欠点を理解しつつ、選ぶことをおすすめします。
動物病院で考えた場合、ベースカラーにはやはり白を選ぶ人が多いようです。獣医師の白衣や清廉さを強調できる白は、ベースカラーとしては無難といえます。少し変化をつけたいようであれば、落ち着きのあるライトベージュやクリームイエローを選んでも良いでしょう。 動物病院の看板となるメインカラーは、飼い主さんに信頼を与えられる青や、平和のイメージが強い緑、また温かく家庭的な雰囲気のオレンジが人気です。
アクセントカラーはメインカラーの真逆が良いと言われています。そのため、メインカラーが青であれば赤、緑であればオレンジといった具合に、メリハリをつけると良いでしょう。
色の適切な配置を考える
色を決めたところで、次にどこで何色を使うべきかについて考えます。まず、自分の動物病院のロゴ部分には、メインカラーを使って強調しましょう。文字は黒もしくは青が無難です。赤は落ち着かないイメージがありますし、黄色は文字が反射して読めないことがあります。アクセントカラーは、注意点や補足部分に使うときちんと見てもらえるはずです。
イラストや写真を入れる方も多いと思いますが、写真のベースカラーとレイアウトの色をなるべく近づけるようにしてください。せっかく3色にまとめていても、写真の色彩とレイアウトが調和しなければ、ちぐはぐな印象になってしまいます。海や空が写っていれば、アクセントカラーもしくはメインカラーに、青を持ってくると良いでしょう。
ここで説明したもの以外にも、文字のフォントやグラデーションの使い方によって広告の印象は大きく変わります。配色はもちろん、全体的に見やすくインパクトを与えられる広告を作るためには、広告代理店などのプロに任せるのもひとつの手です。また、最近は「Color Sample(カラーサンプル)」など、レイアウトの見本を教えてくれるWebサイトもあります。私のおすすめはウェブ配色ツールVer2.0で、仮想ページのプレビューを見ながら、好きな配色を試すことができます。テーマカラーを選ぶと、それに合う配色を教えてくれるので重宝しています。このような便利なツールを、ぜひ有効活用してみてください。きっと魅力的で、あなたの動物病院の個性があふれた広告が完成するはずです。