動物病院経営というビジネスを行っているなかでは、どうしても大なり小なりの問題が起こるものです。
すべての問題を根本から解決して、トラブルの発生数をゼロにするのは現実的には難しいと言えるでしょう。
問題が起きてもスタッフや飼い主さんとの信頼関係を継続するためには、トラブルにもスピーディーに対応できるよう、効果的な対処法を考えておくことが重要です。
それでは対処法とはどのように考えるべきものなのでしょうか。
今回はビジネスで起きた問題に対処するコツについてお話したいと思います。
トラブルが発生したときの理想的な対処方法
飼い主さんへの対応の誤りや事務作業のミス、スタッフ同士の人間関係まで、ビジネスのトラブルは多種多様です。ときには青ざめてしまうような大きなトラブルが起こることもあるでしょう。そのようなとき、感情的になって対処してしまうと、さらに問題を悪化させることになります。パニックにならないためには対処法を事前に考えておき、トラブルが発生したときにはすぐに動けるようにシミュレーションをしておきましょう。ここからは重要な対処方法を紹介します。
①深刻なトラブルほど迅速な対応を取る
トラブルの内容が深刻であればあるほど対応を先送りしたくなりますが、その考え方はNGです。どのような内容でも先送りにすればするほど、問題が肥大化してしまいます。例えば飼い主さんからのクレームが発生したのであれば、すぐに事実関係を確認して、まずは謝罪をするようにしましょう。問題解決策を提案することも重要ですが、まずあなたの誠意を伝えることが何よりも大切です。先に謝罪の気持ちを伝えることによって飼い主さんの態度がいくらか軟化し、問題解決がスムーズにいくかもしれません。事務作業のミスにしてもすぐに問題点を明らかにして修正を試みることで、再発を予防することができます。
②問題解決策を担当者自身が考える
「どのような提案をしたら飼い主さんは納得してくれるのか」「最短時間でミスを修正するためにはどうしたら良いのか」など、具体的な問題解決策は担当者自身が考えるようにしましょう。「動物病院の経営者は自分だから、スタッフのミスも自分がフォローしなければならない」とつい考えてしまうことがありますが、それではスタッフのスキルが上がらず、問題解決能力も養われません。
また、当然のことながらあなた自身のトラブルは自分で解決をするようにしましょう。スタッフに責任転嫁したり、対応を丸投げしたりするような経営者は、誰からも信頼されません。問題を自分ごと化し、正面から向き合うことで対処法が浮かびやすくなります。
③時には相談することも大切
問題解決策は自分で考える必要がありますが、必ずしも一人で抱え込めば良いというわけではありません。一人で考えるよりもスタッフ同士で話し合ったり、同業者に相談したりすることで、有効な対処方法が思い浮かぶ可能性大です。業務の効率化にもつながるでしょう。経営者だからと言って躊躇せず、解決策が見つからないトラブルは周りからのアドバイスを仰ぎましょう。スタッフが起こしたトラブルにしても全体ミーティングを開いて、対処方法を考えることをおすすめします。
④再発防止の対処方法も考える
問題が解決したらそれで良しにしてしまう人が多いものですが、より成長したいのであれば再発防止の対処方法まで考えておくのがベストです。このときには、「なぜ今回のトラブルが発生してしまったのか」「他に解決策はなかったのか」「今後再発を防ぐためにはどうすべきか」「スタッフにはどのような周知を行うべきか」までを考えておくことをおすすめします。人は同じミスを繰り返してしまうことがありますが、それも再発防止の対処方法を考えておくことで回数を減らすことができます。
NGの対処方法とは
スピーディーかつ真摯に対応したつもりでも、その内容が間違っていれば問題は解決されません。ここからは避けておきたい対処方法について紹介します。
飼い主さんによって対処法を変える
新規からリピーターまで、さまざまな飼い主さんがあなたの動物病院を訪れてくるかと思いますが、人によって対応を変えるのは絶対NGです。動物病院全体の信頼を失うことになります。スタッフの対応に違いが生まれないように、発生したトラブルはマニュアル化して院内全体に周知しておくようにしましょう。
関係者すべてから話を聞く
スタッフと飼い主さんの間で発生したトラブルは、双方で言い分が異なることが多々あります。どちらか一方の意見だけを聞いていると、対処法を誤ることがあります。事実関係を正しく理解できるように、まずはトラブルの因果関係をすべての関係者からヒアリングするようにしましょう。そのうえで対処方法を提案すれば、円滑に解決できる可能性大です。
問題の根本解決を図ることも大切ですが、まずはすぐに実行に移せる対処方法を考えておくことが重要だと考えます。あらかじめ対処方法を考えておくことで、トラブルが発生したときにも慌てることなく、円滑な解決を試みることができるでしょう。今回ご紹介したポイントをぜひ覚えておいてください。
