動物病院の広告を打ち出すときには、自分で作るにしても、代理店に制作してもらうにしても、各段階でチェックが必要です。キャッチコピー、デザイン、テキストといった広告の中身から、出稿頻度や配布エリア、スケジュールまで入念に確認しなければなりません。自分一人でチェックをしている獣医師さんもいると聞きますが、広告は必ず複数人でチェックすることをおすすめします。今回は広告チェックにおいて求められる視点について考えていきたいと思います。
第三者による広告チェックが必要な理由
自分が熱を入れて作った広告には主観が入ってしまい、客観的な評価ができなくなります。また、目が慣れてしまって些細な誤字や脱字に気が付かないことも。そのようなことがないように、第三者に入ってもらって広告に対する正直な意見をもらいましょう。
ここで大切なのは、「誰に見てもらうか」です。広告代理店が入っている場合には、営業担当者に頼むことになりますが、それでクロージングするのは少々危険。なぜなら、消費者(=飼い主さん目線)に寄り添っていないためです。売り手側が良いと判断していたものが消費者の心に響かず、まったくヒットしなかったというのは、山のようにある話ですよね。
そのようなことがないように、いろいろな人からの意見を募りましょう。まずは最も身近な院内スタッフから、意見を聞いてみてください。気づけなかった視点を指摘してもらえるかもしれません。「自分が勤務している動物病院の経営を改善したい」と同じ気持ちを共有しているスタッフ同士であれば、真剣に広告の内容をチェックしてくれるはずです。
「誰に見てもらうのか」も重要
広告のチェックはマストではあるものの、決して「チェックしてくれれば誰でも良い」というわけではありません。同業者だけでチェックしてしまうと、消費者目線に立てず、思わぬ落とし穴にはまってしまうかもしれません。
そのため、できれば動物病院関係者以外の人にも広告を見てもらって下さい。「この専門用語の意味がわからない」「この診療サービスを打ち出しているけど、あまり魅力的に感じない」など、目からうろこな意見がもらえます。
そうかといって、動物にまったく興味がない、ペットも飼ったことがない人に聞いても、有益な意見は期待できません。やはりある程度動物の知識があって、ペットの飼育経験がある人が、アドバイザーにふさわしいです。
ターゲット層と近い属性の人のチェック
動物病院の広告原稿をチェックしてもらうときには、ターゲットの飼い主さんの立場に近い人を何人かピックアップして下さい。年代、性別、経済的余裕、居住地、飼っているペットの種類によって、趣向はかなり異なってきます。もしも、現在の飼い主さんに高齢の方が多く、20~30代の比較的若い層を開拓していきたいということであれば、同年代のスタッフや知人に意見を聞いてみるのがいいです。同年代にアプローチできるようなアドバイスをもらえるかもしれません。逆もまたしかりです。
いくらマーケティングの勉強をしたつもりでも、リアルな人間の反応はなかなかわからないものです。「周りに媚びているような気がする」とためらう方もいますが、動物病院の経営改善のためにもぜひ実践してみてください。
チェックの頼み方も重要な要素
広告だけに限らず、意見を聞くときに「これ見てどう思う?」と尋ねる人がいますが、これは少し抽象的すぎると感じます。意見を聞かれた側は、どう答えて良いのかわからず、適当に「良いと思います」と回答してしまうことがあります。有益な意見を導き出すためには、
- 読みやすい文章か?
- 意味が分からない単語・用語はないか?
- デザインを見てイヤな印象はしないか?
- 文字や絵が小さすぎることはないか?
- 問い合わせ先はすぐにわかるか?
- 今すぐ問い合わせてみたいと思うか?
- どのようなターゲットに訴求できそうか?
- 自慢話になってはいないか?
など、いくつかの質問項目を設けて聞いてみてください。スタッフ全員にアンケート用紙を渡して回答してもらうのも良いです。
チェック担当者には必ずフィードバック
意外と忘れてしまいがちですが、意見を聞くだけ聞いておいて、何のフィードバックも行わないのは不親切です。次回以降、しっかりとチェックしてもらえなくなる可能性があります。アドバイスを元に修正したら、どこをどのように修正したのかを、感謝の言葉とともに伝えましょう。相手もきっと良い気分になるはずです。また、一度修正して終わりではなく、最終稿も提示するようにしてください。
広告チェックは、自分の動物病院の広告を見直す絶好の機会です。完成直前に意見を聞くと、想定していなかった意見を伝えられることがあるので、企画の段階から細かくチェックしてもらうことをおすすめします。