今回は成功を収めることができない人の特徴シリーズの第2弾です。
前回は「一発当てたいと考える人ほど失敗しやすい」とお話ししました。一発当てるのはそう簡単なことではないと知っているにも関わらず、大当たりを狙う人はそもそも謙虚さが不足していると私は考えています。
「自分だったら何とかなる」「自分には才能・実力があるから一発逆転ホームランを打てる」と、自分を盲目的に過信してしまうのです。
しかし、こういった奢りこそが失敗のもとになるのではないでしょうか。
成功者ほど謙虚な姿勢を忘れないものです。
今回は謙虚さ・誠実さの大切さについてお話をしたいと思います。
京セラの創業者に学ぶ謙虚の大切さ
あなたは稲盛和夫氏をご存知でしょうか。京セラや第二電電(現KDDI)の創業者であり、日本で最もすぐれた実業家の一人として、非常に有名な存在です。著書を読んだことがある方も多いのではないでしょうか。
そんな稲盛氏は自身のオフィシャルサイトで、人生や仕事において重要となる実践項目をまとめた「六つの精進」を提唱しています。そのなかのひとつに「謙虚にして奢らず」という言葉があります。中国の古典には、謙虚にしている人こそが幸福を得られる「ただ謙のみ福を受く」 という言葉があり、稲盛氏の座右の銘にもなっているのだそうです。本当に成功している人は、内なる情熱を燃やしながらも、謙虚で控えめな性格であると彼は語ります。
最初は謙虚な気持ちを持っていても、出世したり独立したりするにつれ、人はつい傲慢な態度を取りがちです。しかし、これでは人はついてきません。初心を忘れることなく、常に誠実かつ謙虚な姿勢を心がけましょう。
余談ですが、残り五つの精進は「誰にも負けない努力をする」「反省のある毎日を送る」「生きていることに感謝する」「善行、利他行を積む」「感性的な悩みをしない」です。いずれも、経営には欠かせない要素であるため、ぜひ一度オフィシャルサイトの詳細に目を通してみてください。
謙虚さを失うことで起こりうるリスク
謙虚さや素直さを失ってしまうことで、起こり得るトラブルは少なくありません。リスクを知り、謙虚・素直の大切さを理解しましょう。
アドバイスを受け入れずに独断してしまう
「ワンマン社長が経営している会社の未来は危ない」と言われがちですが、その理由は経営者の独断に経営すべてが委ねられてしまうことにあります。経営者といえども万能ではありません。時に判断を誤ることもありますし、そもそも失敗に気づかないこともあるはずです。そのような時に貴重なアドバイスをくれる存在がいなければ、いつまでたっても組織は改善されず、悪手ばかりを打ってしまうことも。
動物病院でも同じです。「経営者である自分がすべての方針を決めなければ」と思うのではなく、状況に合わせて現場のスタッフや患者さんの声に耳を傾けましょう。
人間関係がギクシャクしてスタッフの離職を招く
たとえ腕が良くても、傲慢な獣医師についていきたいと思う看護師やトリマーは存在しません。「自分が何を言っても受け入れてもらえない」と感じると、スタッフのモチベーションは低下し、ミスが頻発しがちです。人間関係もギクシャクして、優秀なスタッフの離職が発生するかもしれません。こうなると動物病院の経営も傾き始めますので、周りの意見を受け入れて、風通しの良い職場を目指しましょう。
動物病院全体の雰囲気が悪化する
傲慢な人の多くは、自分が一番優秀な人間と思い込んでいるものです。そして、自分の意見に反発する人はたとえ優秀な人材であっても、シャットアウトすることがあります。自分の意見に反する人の悪口を堂々と言ったり、嫉妬心を露骨に表したりすることも。こうなると職場の雰囲気がどんどん悪くなり、飼い主さんにも空気の悪さが伝わってしまいます。
そのようなことがないように、たとえ合わない人がいても、その人の悪口は絶対に口にせず、丁寧に接しましょう。余裕のある態度は経営者としての器を大きく見せ、スタッフからの信頼を集められるようになります。
謙虚さを身につけるためには
謙虚さが大切だとわかっていても、経営者という立場上、つい自分が口出しをしてしまうこともあります。確かに経営者には、明確な目標と判断力が求められます。しかし、あまりに一方的に話しすぎるとワンマンな印象になってしまうため、ひとつ自分が意見を発したら、ひとつ黙って周りの意見を聞くといった態度を身につけましょう。
また、みんなが嫌がる仕事に率先して取り組むのもひとつの手です。職場のトイレを率先して掃除する管理職が存在するという話はよく聞きます。こうした習慣を身につけることで、言葉で示さずとも、スタッフには謙虚な姿勢が伝わります。些細なことでも、一言感謝の気持ちを伝える姿勢も大切です。普段言葉が足りていないなと感じる時には、ホワイトデーなどのイベント時にスタッフへプレゼントを贈っても良いでしょう。
謙虚さがある経営者には周りも好感を抱き、特別好かれる努力をしなくても人が寄ってくるものです。自分の意見を持ちつつ、周りの話には常に耳を傾ける姿勢を忘れないようにしましょう。自分だけではなく、スタッフや飼い主さんあってこその動物病院だと心に留めるようにしてください。