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日々の診療業務やスタッフ教育、事務作業などに時間を追われ、経営の方針を見失ってしまっていることはありませんか?

私も同じ状況になることがあるので、お気持ちはよくわかります。

しかし、あなたが動物病院の経営者である以上、部分的な業務に集中するのではなく、全体的な方向性を見据えていなければ軸がなく、いずれ経営は行き詰ってしまいます。

どのような動物病院でも人手や資金など、経営リソースには限りがあります。

そのリソースを効果的に活用するためには、あなたの動物病院の強みや弱みを理解したうえで業務の優先順位を決め、リソースを適切に割り当てていかなければならないのです。

多くの同業他社が存在するなかで生き残っていくためには事業の方向性を定め、差別化を図れる経営戦略を考えなければなりません。

今回は戦略の定め方についてお話したいと思います。

動物病院に必要な戦略とは

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動物病院の経営を成り立たせるためには、企業・事業・機能など、複数の角度から見た戦略を立てる必要があります。それぞれの戦略の特徴は、以下の通りです。

戦略名 内容
企業戦略 ・院内の機能組織を最適化させるために策定
・事業内容の決定・リソースの配分など
事業戦略 ・全体的な企業戦略を各部門で実現できるように落とし込まれた戦略
・市場・顧客戦略と商品・サービス戦略の策定
機能別戦略 ・院内の機能組織を最適化させるために策定する戦略
・マーケティング・営業・財務・人事・研究開発・購買・生産・物流など
その他戦略 ・ある特定の目的やテーマを実現するために立てる戦略
・ITや知的財産戦略など

まずは動物病院全体の企業戦略を考え、次にこの企業戦略に則った事業戦略を考えます。最後に事業を推進していくために必要な「診療」「事務」「トリミング」「ペットホテル」など、機能ごとの戦略を定めていきましょう。階層を作ることによって、矛盾のない戦略をつくることができるはずです。

経営戦略を練るステップ

戦略の必要性や立てなければならない戦略は理解できたけど、具体的に何をしたら良いのかわからないという方のために、ここからは戦略策定のステップを紹介します。この手順に則ることによって戦略を立てやすくなるでしょう。定期的に戦略を策定する時間も確保しやすくなるはずです。

経営理念の再確認

私のブログでは、これまで何度か経営理念の大切さについてお伝えしてきました。動物病院の軸となる経営理念は経営戦略の根幹になりますので、戦略策定の前にもう一度確認しておきましょう。それを意識したうえで、戦略を考えるようにしてください。

フレームワークを利用して動物病院の現状を分析する

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適切な戦略を策定するためには、あなたの動物病院の現状を正しく理解しておくことが何よりも重要です。強み・弱みは何か、同業他社はどのような強みを持っているのか、今の業界の風潮から今後どのような変化が求められるのか、あらゆる角度から分析しましょう。その際に役立つフレームワークが、以前私のブログでも紹介したSWOT分析と3C分析、そして5フォースです。

3つの分析方法を簡単に見ていきましょう。

SWOT分析

・Strength:強み(内部環境)
・Weakness:弱み(内部環境)
・Opportunity:機会(外部環境)
・Threat:脅威(外部環境)

上記の4つを整理し、各項目をかけ合わせるクロス分析をすることによって、現状を把握できます。

3C分析

・Customer:顧客・市場
・Company:自社
・Competitor:競合

上記3つの要素を整理して、現状を把握するフレームワークです。SWOT分析よりもシンプルであるため、戦略策定に時間をあまり割けないというあなたにおすすめの分析方法です。それでも各要素を深掘りすればするほど、より客観的かつ正確に現状を把握できます。

5フォース

・既存企業との競争
・新規参入の脅威
・代替サービスの脅威
・売り手の交渉力
・買い手の交渉力

5フォースとは、各業界の特徴を分析して、事業戦略を策定するためのフレームワークツールです。あなたの動物の事業環境を、上記5つの競争要因に分類して分析することで、戦略が立てやすくなります。

どちらも戦略策定のうえで基本かつ取り組みやすいフレームワークですので、ぜひ取り入れてみてください。
また、フレームワークの考え方については、以下の記事を参考にすることもできます。

関連記事:仕事における振り返りとは?重要性と方法を解説

戦略を策定する

十分に分析することができたら、いよいよ戦略策定に移りましょう。取り組みたいと思う戦略はいくつか出てくる可能性がありますが、すべて実行するのはなかなか難しいため、多くても全部で5つ程度に収めます。あなたの動物病院のリソースで対応できそうなもの、成功率が高そうなものに絞っていくことで、方向性が固まってくるはずです。

また、戦略だけではなく目標となる指標も決めるようにしてください。効果測定を行うことによって、あなたが策定した戦略が適切なものだったかどうかを判断できるはずです。初回から効果が出なくても落ち込む必要はありません。どこが悪かったのか、反省をしながら戦略を見直すことでより良い戦略を策定できるようになります。

戦略選定のポイントを考える際には、以下の記事もきっと参考になるはずです。ぜひ読んでみてください。

関連記事:売上よりも利益に注目して経営戦略を練ろう

戦略の実行

戦略を策定して満足していてはなりません。一度決めた戦略は院内全体に周知して、みんなで力を合わせて取り組みましょう。周りを巻き込むことによって挫折することなく戦略に取り組めるようになるはずです。戦略を実行するためには、より具体的な内容を表した戦術に落とし込むと、積極的に動けるようになります。

戦略の振り返り

前述の通り、すべての戦略が必ずしもうまくいくとは限りません。効果測定の結果をもとに、どこがよかったのか、また思い通りにいかなかったのはなぜかを考えることで、新たな戦略を策定できるようになります。月一度や週に一回など、ルーティンを決めて振り返るようにしましょう。

今あるルーティンにマンネリを感じている方は、以下の記事を参考にぜひ見直してみてください。

関連記事:ルーティンワークこそ見直して業務効率化を図ろう

戦略を成功させるためのポイント

どんなに綿密な戦略を立てていても、失敗することもあるのがビジネスです。それでも成功のポイントはいくつかあります。

まず、戦略を練る際には、利益を生み出し続けるビジネスモデルの明確化を忘れずに、時々は見直すこと。時代の潮流や顧客ニーズの変化を見ながら、必要に応じて見直していきましょう。

また、人材戦略を立てて推進することも、重要なポイントです。戦略の内容自体が良かったとしても、それを行う人材のスキルが期待値に満たなければ、成功を収めることはできません。スタッフのモチベーションを高め、生産性やエンゲージメントをアップできるような教育体制を整える必要があります。

最後に、競合他社に負けないサービスを生み出せるように、飼い主さんのニーズを正しく理解できるマーケティング戦略や、新たな価値創造をもたらすイノベーション戦略も意識するようにしましょう。

ここまでで紹介した4つのポイントを押さえて戦略を練ることで、あなたの動物病院が目指すべき方向性が見えてくるはずです。マンネリを感じている方や売上が伸び悩んでいる方、また新しい事業の展開を検討している方はぜひ参考にしてください。

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