今回は広告に信頼性を持たせる方法第三弾です。
前回は「効果を訴える大切さ」についてお伝えしましたが、それだけでは無機質な印象になる可能性があります。
商品の購入を決断する消費者は感情を持つ人間です。
その消費者の感情を揺さぶる広告を制作できる企業や代理店は強いです。
消費者の心を揺さぶるためには、具体的なストーリーを広告で展開することをおすすめします。
今回はこの「ストーリー」の作り方について紹介したいと思います。
広告にストーリー性が求められる理由
ストーリーテリングに関する知見の提供を行っているシェア・モア・ストーリーズの創業者かつCEOであるジェームズ・ウォーレン氏は、広告やマーケティングには優れたストーリーが必要だと口にしています。その理由は以下の3つです。
- 良いストーリーは、人と人を結びつける
共感できるストーリーは人を深く結びつけ、信頼関係の構築に役立つ。 - ストーリーは強力な学習ツールである
ストーリーテリングを通じて、自然な形で企業やブランドの信念やビジョン、メッセージを伝えることができる。 - ストーリーは重要な戦略ツールである
ストーリーは、これまで接点のなかった人と企業を結び付けるきっかけとなりうる
いずれもウォーレン氏の言う通りだと感じます。たとえ自分の動物病院と関わり合いがなさそうな消費者であっても、ストーリーに共感してくれれば、その人は強力な応援者となってくれます。自分の動物病院やそこで販売している商品やサービスをSNSで宣伝してくれるかもしれません。そうなれば、大きな広告効果を期待できます。
情報が溢れている昨今、ただ商品やサービスの魅力を伝えるだけの広告は、他の広告のなかに埋もれてしまいます。頭ひとつ飛び抜けるためには、他の広告にはない、自分の動物病院だけのストーリーを考えて打ち出すようにしましょう。
消費者の心に訴えるストーリーの作り方
ここからは、消費者の心に訴えるストーリーの作り方のポイントを説明していきます。プロの脚本家でもない限り、自分たちがいちからプロットを考えるのはなかなか難しいものです。それもコツを押さえていくことで、自分の動物病院が打ち出すべきストーリー性というものが見えてくるはずです。
まずは広告のターゲットを決める
多くの人の目に留まることになる広告のストーリーは、万人受けするものが良いとよく言われていました。しかし、それも時代の変化とともに少し変わってきています。万人受けするものは良く言えば優等生的ですが、悪く言えばパンチが少なく、見てもすぐ忘れられてしまうことが多いのです。
そのようなことがないように、現在はターゲットを明確にしたうえで、その方たちには確実に見てもらえるようなストーリーを考えるほうがベターと言えます。
年齢や性別、居住地、飼っているペットの種類などを、できる限り深掘りしてターゲットを定めましょう。そしてそのターゲットを意識しながら広告のストーリーを考えていくようにしてください。
ストーリーについても、ただひとつのストーリーを伝えて終わりにするのでは、少々物足りないものです。消費者が「続きが気になる」と思えるものや、見た後で「誰かに伝えたい」と思えるような広告であれば、より注目度が上がっていきます。
オリジナルのストーリーで勝負する
最近はSDGsの流行があり、企業のストーリーに用いられることが多くなってきました。ジェンダーフリーや多様性の許容、環境への配慮など、どれも素晴らしい取り組みだとは感じていますが、今広告にこれらを絡めたストーリーを載せるのは、少々安易な気がします。消費者は私たちが想像している以上に多くの広告を日々目にしているもので、「SDGs」「男女平等」などのフレーズに飽き飽きしている人もきっといることでしょう。動物関連であれば、「動物実験反対」や「毛皮不使用」などのフレーズが掲げられた商品に飽きを感じている飼い主さんがいても不思議ではありません。
せっかく自分たちの広告にストーリーを載せるのであれば、自分たちにしかないオリジナルのストーリーを載せましょう。「〇〇獣医師が××商品を開発するまで」「〇人の飼い主さんを診てきた看護師がおすすめする、本当にワンちゃんにやさしいシャンプー」など、ちょっとしたストーリーを載せるだけで、見た人の反応は大きく変わってきます。スタッフ一人ひとりの意見を聞いて、最もインパクトがありそうなストーリーを採用してみると良いでしょう。
ストーリーは具体的であればあるほど良し
ストーリーというと漠然としたイメージがあるかもしれませんが、数字や具体的な効果を説明すると、ストーリーもぐっと深みを増します。「これまでに〇人のワンちゃんが愛用した」「飼い主さんの〇%が購入した」など、数字を入れるなどすると、「そんなにたくさんの人が購入しているのであれば、自分も試してみようかな」と思ってもらえるかもしれません。最近の視聴者は広告に見慣れていて、雰囲気だけが良い広告はあっという間に見抜かれてしまいます。
ストーリーテリングは現在の広告には欠かせない要素です。あなたの動物病院のオリジナリティを存分に発揮できるところでもありますので、ぜひ一度真剣に考えてみてください。あなたの動物病院にしか存在しないストーリーがきっとあるはずです。