動物病院で集客力アップを図るためには、宣伝活動が必要です。宣伝活動に慣れている動物病院というのはそう多くはない印象ですが、そのなかでも広告を打つのは比較的取り組みやすい活動と言えます。
しかし、この広告というのも、むやみやたらに発行すればいいというものではありません。適切な媒体に適切な情報を載せて打ち出すことで、はじめて効果を感じられるものです。
今回は初めて動物病院の広告を出す人のために、作り方のポイントや広告の種類について紹介いたします。ぜひ参考にしてください。
1、動物病院が打ち出す広告の種類
かつて動物病院の広告といえば、大きな立て看板と新聞チラシのふたつぐらいのものでした。
しかし、インターネットが一般に浸透したことで、広告の打ち出し方も大幅に変わってきています。ここでは代表的な動物病院の広告について紹介したいと思います。
① チラシ
すでにやりつくされた手法のように思えるチラシですが今でも一定以上の効果を期待できる手法です。一般的に動物病院というのは近隣エリアの住民がやってくる施設であるため、エリアを絞ってチラシを打ち出すことができます。ターゲットを絞った、効率的な方法と言えますね。ただし、新聞の折込やポスティングは不特定多数に向けて打つことになるのがデメリットともいえるでしょう。
② ホームページ
動物病院のホームページを開設してそこから、自分の医院の魅力をアピールすることも可能です。最近はあえてホームページを作らず SNS でアピールする人が増えましたが、カチッとしたイメージのある病院は、やはりホームページがあったほうが信頼度も高まります。ただし、ある程度の知識がなければ効果的なホームページを作るのは難しく、検索結果が上位に上がってこないことも。チラシと比べるとホームページ制作はややハードルが高いと言えるでしょう。
③ Google マイビジネス
Google マイビジネス上には動物病院の基本情報や写真、地図を無料で登録管理できるサービスがあります。ホームページを作る技術がなくても Google マイビジネスであれば簡単に登録できるうえ、アクセス元地域などの簡易分析もできるので、動物病院経営のマーケティングに役立ちます。口コミ機能もあり、そこからも自分の動物病院の課題点を見つけられます。
2、肝心の広告の中身はどうする?
広告を打つ方法を決めたら、次は広告作りの中身を決めていきます。デザイナーや広告代理店に依頼することもできますが、中身を決めるのはあくまでも自分です。
一般的な動物病院のチラシを見てみると
・動物病院名やオープン日などのメインタイトル
・動物や動物病院の写真やイラスト
・動物病院のアピールポイント
・住所や電話番号、診療時間、定休日などのアクセス情報
で構成されているものがほとんどです。
アクセス情報だけ載せてシンプルな広告を打つこともできますが、私としては多少字が小さくなってしまったとしても中身が充実した広告のほうが良いと考えています。その理由について説明していきます。
3、気を配らなければならない獣医療法
動物病院の広告を打つうえで最も気を配らないといけないポイント、それは獣医療に関する広告の制限です。獣医療法では十分な専門知識を有していない飼育動物の飼育者などが惑わされ、不測の被害を受けることを防止する観点から、「獣医師または診療施設の業務に関してはその技能や療法及び経歴に関する事項を広告してはならない」と決めています。
そのため具体的な疾患の名称や病名は掲載することができません。
また、動物病院の広告には医師の経歴をアピールしたものが多く見られますが、これもなかなかグレーなところで、「技能や療法及び経歴に関する事項を広告してはならない」という決まりがあります。たとえば「著名人のペットを扱った事例がございます」などという文章はNGです。
あまりに広告をシンプルにして、派手な治療方法や医師の経歴だけをピックアップしてしまうと法律違反になってしまうおそれがあります。それでは、どのようにして相手の心に訴えればよいものでしょうか。
4、具体的なポイントをピックアップして相手の心をつかもう
たとえば「MRI によってワンちゃんの腫瘍診断を実施しています」というフレーズは「腫瘍診断」の部分が法律違反に該当するので広告には載せられません。しかし、「MRを導入しました」というフレーズであれば問題なく載せられます。短文でも構いませんので、導入しているシステムや設備をたくさん取り上げていけば「こんなに設備が充実しているのだ」と、相手の心にも響くかもしれません。
動物病院の医師やスタッフは、動物の命を預かる仕事です。あまりにシンプルな説明文であると「信頼できない」「命を預けられない」と思われてしまうかもしれません。逆に文字が多く、しっかり説明がなされている広告であれば、「ここの病院なら信頼できそう」と思ってもらえる可能性が高いものです。レイアウトのバランスに注意しながら、院内の設備や待合スペース、医師の診療姿勢など、充実した内容を詰め込むことが集客につながるでしょう。