動物病院の会議におけるプレゼンのルールシリーズは、今回が一旦ラストになります。
今回お伝えしたいことは動物病院の会議をスタッフ任せにしてはいけないということです。
もちろんスタッフ自身が当事者意識を持って会議の運営にあたることは、とても大切なことと言えます。
プレゼンや会議を取り仕切るプレゼンテーション能力が養われれば、社会人としても成長するはずです。
しかし、最後にはやはり動物病院の院長であるあなた自身が登場して、病院の方針を明確にしなければなりません。
今回は動物病院の会議で院内の一体感を高める方法について考えていきたいと思います。
会議は院内の一体感を確かめ合う儀式
皆さんは会議やプレゼンを、いったい何のために行うと思いますか?重要な課題を解決するため、みんなで意見を確認するため、確かにそれらも会議の重要な目的です。しかし、私は動物病院のスタッフ全体の統一感を高めるために、会議というものが存在するという考えを持っています。院内会議を開催すれば、スタッフ一人一人が自分の勤務する動物病院の実態について、少なからず考えるようになります。そして意見を出し合うことで、自分も動物病院の運営に携わっているという自負を持てるようになるのです。
このシリーズでは、短時間会議を何度も推奨してきましたが、それをまめに開催することによって、スタッフの帰属意識を高められるでしょう。長時間の会議や頻繁に行われる会議は確かに問題ですが、あまりにも開催数が少なかったり、病院長であるあなたが運営方針をすべて決めてしまったりする方針も決して良くはないと思います。私は自分が経営する動物病院では、短時間の会議をなるべく細かく開催するようにしています。
全員参加型の会議を心がけよう
大企業であれば、部署や支店、役職ごとの会議というものが行われているかと思います。しかし、中小規模の動物病院であれば、基本的に会議は全員で開催するようにしましょう。そのほうが院内全体の一体感も高まるはずです。
スタッフ全員が会議に参加することのメリットは他にもあります。ひとつ目のメリットとして、必要な情報が全員に漏れなく行き渡るようになる点が挙げられます。また、一人一人の顔を見合って話し合うことで、スタッフの現状を把握しやすくなるでしょう。参加人数が多いほどたくさんの意見を期待できるはずです。現在は医師と看護師だけなど、参加者を選別している方も、一度動物病院の全体会議を実施してみてください。雰囲気がきっと変わるはずです。
全体会議をスムーズに実施するためには
全体会議を実施するにしても、会議当日にやむを得ない事情で欠席者が出るというケースは珍しくありません。極力このような事態が発生しないように、会議の日程や時間管理は徹底しましょう。毎日あなたが開けられる時間を30分確保し、その時間に全員が参加できるような会議を開催してください。開催時間としては、診察時間外がやはりおすすめです。「患者さんがいるから、会議に参加できない」「急患が来たので不参加」といったケースもなくなります。
院長も必ず会議に参加する
たまにスタッフだけで会議を開催している動物病院がありますが、これはあまりおすすめできません。理由はさまざまですが、まず動物病院の院長がファシリテーターを務めることで会議が着地しやすくなります。最終決定者不在の会議はだらだらと議論だけが続いて、結論が出にくい傾向があります。また、動物病院の院長が出席しなければあなた自身の存在感が薄くなり、大切な時に自分の意見を聞いてもらえないということも。
院長の存在が薄い動物病院というのはスタッフ間の結びつきが希薄なもので、飼い主さんに「まとまりのない動物病院」という印象を与えてしまいます。そのようなことがないように、たとえ忙しくても院長であるあなた自身が必ず会議に参加するようにしてください。
その他に決めておきたい会議のルール
効率的な会議を実施するためには、他にも決めておきたいルールがあります。まず、会議参加者は突然の電話がかかってきても出ない、スマホの閲覧は禁止などといったルールの設定です。
電話を口実に退室されてしまうと、残された参加者の集中力は一旦そこで途切れてしまいます。どうしても電話応対をしなければならない場合、事前に電話番を一人決めておくと良いでしょう。
また、会議は予定時間を過ぎたら、きっちりと終わるように心がけてください。たとえ議論が盛り上がっていても、スパッと終えることで会議全体にメリハリがつきます。参加者も会議へのモチベーションを保てるはずです。細かいようですが、こういったルールの設定が会議の質を高めてくれます。
社内プレゼンや会議のルールを4回にわたってご説明しましたが、どれもさほど難しいものではありません。今からチャレンジできるものばかりですので、ぜひあなたの動物病院でも実践してみてください。短時間の会議を細かく効率的に行うことによって、スタッフの意識が大きく変わってくるはずです。