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「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」というビスマルクの言葉は、現代の動物病院経営においても深く響く名言です。私たち自身の経験だけでなく、他者の成功や失敗の歴史から学ぶ姿勢は、刻々と変化する経営環境を乗り越えるうえでは不可欠なものと考えています。

近年、ペット数の減少と動物病院数の増加という二つの波が押し寄せ、競争は一層激化しています。経営は一度の失敗が大きな負債や、スタッフの雇用問題に直結しかねません。

そこで今回は、経営が行き詰まった時にどうすれば良いか、過去の知恵や経験を活かす方法を探っていきましょう。

まずは自院の「経験」を徹底的に振り返る

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経営改善の第一歩は、やはり自院の経験を徹底的に見つめ直すことにあります。「自分は大丈夫」と思っていても、実は気づいていない問題が潜んでいる可能性は十分にあります。まずは、以下の点を参考に、客観的な視点で自院の現状を把握してみてください。

スタッフ全員でミーティングを開き、過去に「このことがきっかけで飼い主さんが来院しなくなった」といった出来事や、「こんなクレームを受けたことがある」といったネガティブな経験を共有し、問題点を洗い出しましょう。現場の生の声は、経営者が気づかない盲点を教えてくれます。

また、顧客の声の分析も重要です。アンケート結果やGoogleマップ、SNSの口コミ、直接受けたフィードバックなどから、飼い主さんが本当に求めていることや不満点を客観的に把握しましょう。

さらに、売上データや来院データを詳細に分析することで、特定の診療項目や期間における売上の変化、新規・リピート来院数の推移から、経営悪化の兆候がないかを探ることも大切です。

最後に、財務状況の定期的なチェックも行いましょう。収支バランスやキャッシュフローの健全性を定期的に確認し、経営の根幹に問題がないかを把握することが重要です。

これらの振り返りを通じて明らかになった「不足点」に対し、どうすれば改善できるのか、具体的な解決策を経験から導き出していきやすくなります。

振り返りの方法については、以下の記事がきっと参考になるはずです。ぜひ一度読んでみてください。

関連記事:結果が出ない時こそプロセスから原因を探るべき

他院の「失敗事例」を情報収集して学びのヒントに

「自分の周りには失敗事例がないから学べない」と感じるかもしれませんが、実はそうではありません。動物病院の具体的な経営失敗事例は表に出にくいのが現状ですが、それでも学ぶべきヒントは存在します。

学ぶべきは、なぜその病院がうまくいかなかったのか、その背後にある原因です。情報収集のヒントとして、以下のような方法を試してみてください。

まず、業界誌や専門メディアを積極的に読み込みましょう。動物病院の経営に関する記事やコラム、特集記事などから、一般的な経営課題や業界のトレンドを把握できます。次に、セミナーや勉強会への参加も有効です。経営コンサルタントが主催するセミナーや業界の勉強会では、具体的な成功・失敗事例が匿名で紹介されることがありますし、他院の経営者との交流を通じて、生きた情報交換ができることも大きなメリットです。

余裕があれば、経営コンサルタントの活用を検討するのもひとつの手です。多くの動物病院の事例を知る外部の専門家に相談することで、客観的な視点と、自院に合った具体的なアドバイスを期待できます。

さまざまな方法で情報を集めると、「立地」「サービス内容」「価格設定」「人材管理」「マーケティング」といった多角的な視点で分析できるようになり、自院の経営に活かせるでしょう。

視野を広げることの大切さについては、以下の記事でも触れています。

関連記事:業界外の人の目線も持って視野を広げよう

時代を読み解く「動物病院の歴史」から学ぶべきこと

動物診療の歴史は非常に古く、日本最古の文献である古事記にも大国主命が白兎を診療したと残されています。動物病院の数が増加したのは、高度経済成長期のペットブームが大きなきっかけと言われています。しかし、その経営環境は時代の流れと共に大きく変容してきました。

例えば、かつては「病気を治す場所」という認識が強かった動物病院も、今では「ペットの生涯に寄り添うパートナー」「予防医療や健康維持をサポートする存在」へと、飼い主さんの意識が変化しています。医療の高度化・専門化、情報化社会の到来、そしてペットの家族化というトレンドは、経営戦略に大きな影響を与えています。

確かに、数百年前の歴史をそのまま現代に適用することは難しいかもしれません。しかし、歴史から学ぶべきは、「時代が変化する中で、何が求められ、何が廃れていったのか」という普遍的な教訓です。常に飼い主さんのニーズに耳を傾け、変化に柔軟に対応することの重要性は、いつの時代も変わらない経営の鉄則と言えるでしょう。過去の教訓から、未来への対応策を導き出す知恵を身につけましょう。

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