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上場企業の経営者には、株主などのステークホルダーに対して自分自身の企業経営の実績を説明する義務があります。

すなわち上場企業の経営者は、利害関係者に対して情報を開示し、数字の責任を持つ必要があります。

これは経済学の用語で「アカウンタビリティ」と呼ばれるものです。

上場企業ではない、多くの動物病院の経営者のなかで「自分は上場していないから、わざわざ成果や数字を公開する必要もないし、株主もいないから何の責任も負っていない」と考える方も少なくありません。

しかし、この考え方は大変危険です。

アカウンタビリティがなければどうしても考えが甘くなり、日常の業務がルーティンワークの繰り返しになってしまうおそれがあります。

今の時代、あなたの動物病院が生き残っていくためには、アカウンタビリティについてもじっくりと見つめ直したほうが良いでしょう。

そこで今回はアカウンタビリティの設計方法と心構え、注意点をお話します。

アカウンタビリティとレスポンシビリティ

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アカウンタビリティとよく似たものとして、レスポンシビリティの存在がよく挙げられます。このふたつの違いは明確で、前者は自分が担当して権限を持つ部門の成果や評価、状況を説明する義務を指します。すなわち、これは経営者であるあなたの役割です。一方のレスポンシビリティとは、上長から指示された業務を的確に遂行する義務のことです。これはどちらかと言えば、あなたの動物病院で実際に働いているスタッフに課せられる義務と言えるでしょう。

動物病院をうまく経営していくためには、このアカウンタビリティとレスポンシビリティの違いをよく理解して、持つべき責任を自覚させなければなりません。スタッフのなかには、自分が課せられている仕事の責任の大きさを理解せずに、言われたままに業務をこなしている人もいるでしょう。しかし、その状態ではいつまでたってもスタッフは成長しませんし、ぼんやりかつ淡々と仕事をこなしている姿勢が、ミスを誘発するおそれがあります。

決してそのようなことがないように、まずスタッフには動物病院で働くプロであることを自覚し、責任感を強く持っていただきたいと思います。責任感を持ってもらうためには、まず定期的にスタッフ一人ひとりの目標設定をすること。あまりに無謀な目標にするとかえってスタッフの士気が下がってしまいますので、面談で話し合って適切なゴールを設定していきましょう。そして、業務の進捗状況を定期的に確認する必要もあります。

 

フィードバックを行うことによってスタッフも自身の成長度合いや課題点を認識できるようになり、「さらに良い評価を得るためには、どのように働けばよいのだろうか」と考え始めるようになるはずです。特に年齢層の低いスタッフにいきなり「責任感を持て」と言っても難しいものですし、責任の重さを窮屈に感じる人がいても不思議ではありません。最終的にはスタッフ全員が自分が担当する業務の責任を自覚できるように、最初は経営者であるあなたやベテランの看護師がサポート役となってあげましょう。

経営者のあなたに求められる新しい責任とは

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「経営者に求められる責任=売上や利益といった数字」と、安易に決めつけてはいませんか?確かに数字も非常に重要な要素のひとつです。しかし、その数字を上げるためにどのような成果を上げるべきか、どのような施策や業務に取り組むべきかを明確に説明できる人はそう多くはありません。

 

目まぐるしく世界の情勢が変わる昨今、取り組むべき施策や目標も刻一刻と変わっていきます。もし現在あなたの動物病院の売上が下降傾向にあれば、あなたは動物病院経営のプロとしての成果を出せていないということになります。それならば、プロとして最大限の成果を発揮できるように、新しい施策を打ち出してみてはいかがでしょうか。「これまで順調だったのに、なぜか売上が右肩下がりにある」ということでしたら、すでに経営施策が古くなっている可能性があります。これまでの歴史を大切にすることも重要ですが、経営者であればその時代にあった考え方を柔軟に取り入れるようにしましょう。

 

また、先ほどお伝えしたフィードバックをスタッフだけではなく、あなた自身に対して行うことも重要です。なぜ売り上げが上がらないのか、どうして施策の成果が見えないのか、自分ではわからなくてもスタッフや取引業者など、第三者の視点から見れば明確というケースがあります。ダメ出しを恐れることなく、フランクな姿勢で新しい施策に対しての意見を募り、もっともだと思う点については修正を加えていきましょう。

 

プロである以上、仕事に責任をもって成果を出し続けるのは当然のことともいえます。しかし、ルーティンワークが続けばいつしか責任感や成果を忘れ、つい惰性で仕事をしてしまうことがあるものです。そのようなことがないように常に緊張感を持ち、動物病院の経営者、そして獣医療のプロとして仕事に取り組んでいきましょう。

 

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