動物病院の多くは、個人の獣医師が経営しています。
そのため、気づくと毎日同じスタッフや取引業者、そして飼い主さんとしか顔を合わさずに、視野が狭くなってしまうことも。
しかし、これでは時代の流れにあった動物病院を経営していくことはできません。時には交流会などで自分の動物病院とは無関係な人と交流を持ってみてください。
もちろん他の獣医師と顔を合わせて近況報告をすることも大切ですが、私は今回あえて異業種の方と関わる大切さについてお話ししたいと思います。
動物病院とは全く関係ない業種と関わることで、どのように視野を広げられるのでしょうか。
異業種の方と関わることの重要性
私たち動物病院の経営者は、ペット関連メーカーや同じ動物病院の経営者、また院内のスタッフと、コミュニティがクローズドになりがちです。それも、例えば動物病院の広告を打ち出したい時に、マーケターや広告代理店の営業マンなど、広告業関連の人脈を築いておくと、アドバイスを受けやすくなります。また、つながりがあることで、広告業者の選定にも迷うことなく、信頼できる業者に頼めるでしょう。人脈を広げることが、長い目で見れば動物病院の経営に活きてくるはずです。
また、動物病院に限った話ではありませんが、近年は診療や治療に関する技術面はもちろんのこと、プラスアルファのサービスが求められます。「あの動物病院は先生の技術が高いから安心だ」と、獣医師の技術の高さだけを理由に、飼い主さんが足を運んでくれる時代はもうとっくに終わっているのです。
キャンペーンの打ち出しや、来てくださった飼い主さんへのアフターケア、スタッフの接客スキルなど、ソフト面を強化することで、集客アップにつながります。実はこういったことを不得手にしている獣医師は少なくありません。技術を身に付けることに専念していて、接客スキルを学んでこなかった人が多いためです。そのような獣医師がいきなり飼い主さんのニーズを満たす接客をするのは、いささか難しい話です。それも他業種の人と関わり合うことで、意見をもらえるかもしれません。
進んで関わりや交流を持ちたい業種
異業種交流は望ましいものですが、できれば自分の動物病院の経営に関係しそうな業種の人と関わりを持っておきたいものです。ここからは人脈を築いておきたい、おすすめの業種を紹介します。
広告代理店
今やほとんどの動物病院が、何らかの広告を打ち出しています。広告と一言で言っても、従来のビラやチラシからインターネット広告（SNSを含む）まで、広告のジャンルは幅広いものです。また、広告を打ち出したからには、必ず効果測定もしなければなりません。それも知識がなければ見当違いな広告を作ってしまったり、効果測定の方法を誤ったりしてしまうことも。そのようなことがないように、信頼できる広告代理店や業者とつながりを持ち、パートナーとして広告戦略を考えてもらうと良いでしょう。
税理士・会計士などの士業
動物病院の経営者の多くは、自分の病院の経理関連業務を税理士や会計士に任せているものです。長い付き合いがあり、そのまま何年も見直すことなく惰性で契約を続けてはいませんか。しかし、税理士などの士業にもどんどん新しい人が参入してきています。これまで馴れ合いになっていた税理士よりも、新しい税理士と関わりを持つことで、これまでになかった経営アドバイスを受けられるかもしれません。なかなか売り上げが上がらないということであれば、士業の方と積極的に関わりを持ちましょう。
成功している接客業のオーナー
自分も含めたスタッフの接客スキルを一度見直したいということであれば、飲食店や小売店などのオーナーとコンタクトを取ってみましょう。本当に飼い主さんから好かれる接客のコツを学べます。特に人気のある店舗は、必ず何らかの工夫をしているものです。業種が違うからといって、参考にできないことはありません。動物病院に応用できそうな接遇のコツを聞いたら、どんどん取り入れていきましょう。
異業種交流会への参加は注意も必要
他の業種の方と関わりを持ちたいときに、最も手っ取り早いのは、やはりさまざまな企業が開催している異業種交流会への参加でしょう。自分の会社の業績アップを目指している参加者が集まるため、積極的に名刺交換をしましょう。無料のものも多いので、気軽に参加できます。ただし、なかにはマルチなどへの勧誘を目的としたとした交流会も。そういった類に引っかからないように商工会議所主催など、信頼できるものを選びましょう。
異業種の方と交流すると、ビジネスへのヒントを得られるだけではなく、人脈も広がって新しい飼い主さんを紹介してもらえるかもしれません。気が合う人に出会えたら、自分の人生もより楽しいものになっていくでしょう。経営の行き詰まりを感じている方こそ、ぜひ参加してみてください。きっと視野が広がるはずです。
